ずっと好きでいられますよう/由比良 倖
 
うすごくストレートな感慨を書いていると思う。

 全くもって理知的でも論理的でもない、単純な感動からスタートしていて、物に深く感じること、感動することが全てだ、というあまりにも単純なことしか説かなかった宣長の「物のあわれ」論は、世界の真理ではないかもしれないけれど、でも人生の真理ではある。だって、何も愛することの出来ない人生は、本当に空っぽだから。

 はっと感じること、じっくり感じること、よくよく付き合い、よく考えて、ようやく分かると感じること、要するには全てを深く感じようと意識しながら生きていくということ、それが生きるということなんだ、という宣長の信念は、とても正しい。

 世界は
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