ずっと好きでいられますよう/由比良 倖
ているけれど、大和心というのはもともと理知だとか武士道だとか、男らしい観念とは真逆の言葉で、(理屈とは違う)柔らかな感情や、繊細な感性のことを言った、主に平安時代の女性、紫式部や赤染衛門などが使った言葉らしい。「男はああも出世だとか勉強だとか言うけれど、もっと大事なのは心の機微や優しさなのだ」というのを、大和の心、という言葉で表していたそうだ。
だから先ほどの「しきしまの……」は、おそらく、偉そうで概念的な学説への反抗心も含みながら、大事なのはこういう、山桜が朝日の中にぱーっと咲いている、言葉ではとても説明出来ない、しかし何とも惹かれる、心から離れることのない、この感じだけなんだ、というす
[次のページ]
戻る 編 削 Point(3)