数式の庭。原型その1/田中宏輔
 

庭に咲く
数式の花の輪郭をなぞる。

指がなぞる
いくつもの数式の花たち。

つぎつぎと変形されて
異なる相に出現していく数式の花たち。

異なる相において詳らかになる新たな構造。
姿を変えた数多くの数式の花たち。

数式の花の花びらを引きちぎっては
庭に撒き散らす指の動き。

それは
蝶の飛跡にも似た
目の運び。

目は
しばしば
忘我となって
数そのものとなり
記号そのものとなり
ときには
線分そのものとなり
角そのものとなる。

指は
目となり
鼻となり
耳となり
口となる。
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