メモ(主に映画についてのこと)/由比良 倖
 
に、身近に感じていたと思う。
 頭で考えられることは、本当に本当に少ない。僕は自分の頭の悪さを嫌になるくらい感じているので、自分の頭から出てくる言葉よりも、自分の細胞や指先から出てくる言葉の方を信じている。でも今は、僕はこのすかすかの頭で考えたことばかり書いている。自分の細胞の声に耳を澄ませることを忘れている。
 頭は言葉を産まない。少なくともろくな言葉を産まない。実際に書いているのは頭ではなく、キーを叩く指先だ。端的に細胞の声を、脳を介することなく、指先で描けたら最高だと思う。それは本当に、とても気持ちいい体験だ。脳が身体を忘れると、身体は脳抜きで勝手に踊り出す。僕は僕という自意識と、そこか
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