指先の足跡/ホロウ・シカエルボク
はそれが幸せかもしれない、けれどそんなものを選択出来るほど愚かな時代はとうに過ぎてしまった、俺の人生は一瞬の瞬きなどではない、俺が残してきたものたちを並べればそれは明白なはずだ、そうさ、長ったらしい、暑苦しい、回りくどい人生さ、だけどそういう人生をそのまま生きることが俺にとって最良なんだ、俺はもうそのことを疑ったりしないよ、だって着実に歩みは進んでいるからね、CDの店を覗く、チャーリーが居なくなったストーンズの新しいアルバムはまだ聴いていない、チャーリー・ワッツ無しにストーンズが可能だなんて俺は思わない、チャーリーはきっとこう言ったんだ、「僕が死んだからってストーンズを止めたりしないでくれよ、僕の
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