なにかが寝床にやって来る/ホロウ・シカエルボク
 
のか?食らうものがなくなったのか虫たちは俺の身体を捨ててどこかへ行ってしまう、俺にはまだ意識がある、とっくの昔に死んでいてもおかしくはないのだが…その時に俺は気付いた、俺はどこか別の場所から俺のことを見ている、集中治療室のベッドの上の患者をビニールのカーテン越しに見つめるようにね、俺は自分の部屋の床に半分沈んだ形で骨と皮だけになった自分の躯を眺めている、ということは死そのものは随分昔に訪れていたのかもしれない、いや、だけど、甲虫っていうのはおかしくないだろうか、普通こういう時は蛆虫ではないのか?カタカタと肉体の側の俺の頭蓋骨が顎を鳴らして笑う、その音はついさっきまで飽きるほど聞いていたあの音に似て
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