風が俺を撫でようとするときに友達と居てしまっては/ホロウ・シカエルボク
 
るよ、そんなものいったい幾らになるんだろうね?駅の忘れ物市は面白かったな、傘とかボロボロのCDとか人形とかさ、今日は寝具の安売りみたいなことをやっていた、だからそこには立ち寄らなかった、デパートを出て、小さな呑み屋が並ぶ路地を歩く、平日だけどある程度賑わっている、昔はここにも歩けないくらい沢山の人間がうろついていた、スナックをやっていた俺の婆さんは、女と酒と食いものの店は潰れないっていう神話を信じていた、でもそれはちゃんと潰れた、勢いだけで生きてる連中ほど神を信じるってことなのかもしれないな、言わなくても良いことかもしれないけれど、あの婆さんはまったく好きになれなかった、葬式には出たけどさ、昔この
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