いつのまにか滲んだ血でさえ流したあとには忘れている/ホロウ・シカエルボク
 
連中が居るから、意味は広がり続ける、たったひとつ、最も表層的なところだけを拾って生きているのが現代だ、小石を拾って、ポケットにこれだけ入っているという類の自慢をするのだ、俺はたったひとつの小石に蝋を垂らし、色を塗り、少し削る、その、棘のついた妙な物体を元の場所に戻す、例えるならそういうことさ、小石は小石でしか成り得ないだろうか?それはつまり瞑想の発端と同じさ、ひとつの物体の在り方、ひとりの人間の在り方、ひとりの人間はある意味で大人数であり、また逆に、数十人の人間がたったひとりのように見えたりする、覚えが無いとは言わせないよ、誰しもそんな風に思ったことはあるはずさ、いつからか激しく風が吹き始める、窓
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