いつのまにか滲んだ血でさえ流したあとには忘れている/ホロウ・シカエルボク
、窓が音を立てる、雨もかなり激しくなっているようだ、ただそんな景色に似つかわしくない明るさが俺を混乱させる、そう、誰か、かなり親しい人間の別の一面をある時垣間見たようにね、すべてはそんな風に出来ている、人間なんて自分自身すら理解し切ることはない生きものだ、なのに、すべてをわかってるような顔をして生きてる人間が多過ぎる、そういうやつらが往来をウロウロしているから、いつだってニコチンの臭いが漂っているし、まともに運転も出来ないドライバーが事故を起こして警官にゴネまくる、もう人間は小銭を稼いで消費すること以外なにも考えられなくなったみたいだ、そんな自分にやりきれなくてテレビ番組に本気で文句をつけている、道を間違えた水は汚れながら落ちていくのみ、自分でその汚れを落とすことすら思い付きはしない、本当ならそんなところを流れる筈もなかったのに、つまらない意地で間違い通してしまったんだろうさ、寝る前に少し身体をほぐす、近頃馬鹿みたいにリアルで長い夢を見る、目覚めた時の景色に戸惑ってしまうくらいにさ、多分悪いことじゃないんだろう、思い出に残る景色はなるだけ多い方がいいからね。
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