いつのまにか滲んだ血でさえ流したあとには忘れている/ホロウ・シカエルボク
たとき勝手に死んでしまう生きものだ、それを俺の気のせいだと言えるかい?ソファーの上でいつの間にかウトウトしていた、時刻は最後に目にした時から半時間ほど過ぎていた、起き上がって音楽のボリュームを少し上げる、俺たちに敬意を払え、と、ミック・ジャガーが叫んでいる、俺はふざけて敬礼をする、それからキッチンに行き、ボトルのアイスコーヒーを少し注いで飲む、作り物の苦みに顔をしかめ、台風の進路をチェックする、古いプロレスの試合を観る、エンターテイメントを引き受ける格闘技、ただ強いだけの人間ならボクシングや総合にもたくさん居る、でも、化物はプロレスのリングの上にしか居ない、パフォーマンスとは常識を逸脱してこそ成立
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