いつのまにか滲んだ血でさえ流したあとには忘れている/ホロウ・シカエルボク
 
べ過ぎたらしい、ソファーにもたれてコンポのスイッチを入れる、トレイの中に入れたまま忘れていたディスクはメインストリートのならず者、サム・ガールズに取り換える、また緊急速報が届く、台風が近づいているのだ、避難をそそのかされている、津波でもなんでも盛大に来ればいい、この街は一度全部失われるべきなのだ、根本的な怠惰が街並みにまで見て取れる、そんな街、まだ華やかなりし日の思い出の中で生きている瀕死の商店街、すべて一掃されればいい、そして合理的な街並みに変わればいい、もちろん俺がここで生き残る保証なんかないけれど、やるべきことがある人間は死なない、俺はいつでもそう考えている、人は自分で役目を終えたと感じたと
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