寒い夜/秋葉竹
そして小声で
震えながら
泣きだす人生を振り返り
そして
夜は
そして
暗く
黒く
寒い
吐く息はすき透りながらも艶っぽく
それが私の
心の自由さをあがきながら重くしてしまう
みたいだから嫌だ
夜に吐く息は
みえないあたたかさの色の
白っぽいしあわせなのがよいね
夜に
こそ
生きられる
私は
そこでしか
息ができないんだ
海のそことか
地のそことか
あるいは宇宙の最果てとか
夜になると
白桃を食べたくなるんだ
口の周りを
甘露でベタベタにして
しゃぶり尽くすすこしいやらしいくらい
くちびる
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