Pastiche。/田中宏輔
 
ぐるまわして自分自身を眺めることができる。

? しかし、鳥はいっかな姿を現わそうとはしなかった。

? 聞こえるのは、鳥籠の心臓の鼓動ばかりだった。

? 鳥籠は鳥籠のなかを、ぐるぐるともっと強烈に探し廻る。

? 突然、鳥籠のなかに無限の青空が見えてくる。

? 鳥が見える。そして、鳥しか見えない。

? 鳥籠はどこにいるのか。

? 鳥籠の鳥は、実は鳥籠自身だった。

? 鳥は籠のない鳥籠である。


 Opus Tertium

吊り下(さ)げられた容積のない鳥籠
(高橋新吉『十姉妹』)

? 鳥籠は、ひたすら鳥の表象として、鳥に向かい
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