Pastiche。/田中宏輔
 
かい合って存在している。

? ということは、かりにそのたった一つの生物が消滅でもすれば、表象としての鳥籠もまた同時に消滅するということなのだ。

? 鳥が空想的になる場合にも、鳥籠はやはり同様に漸次希薄になる。

? 鳥籠は、何よりもまず、鳥の意識的認識の反響である。

? その鳥籠は、しばらく宙に浮いていた。

? イエスの心というのが、その鳥籠の名前であった。

? この鳥籠は、あまり鳥の鳥籠にはならない。

? 鳥は未練なく、その場を離れた。

? 鳥が鳥籠から出たとき、雨が少し降っていた。

? 鳥籠の胸の奥に、死んだ鳥と眠っている鳥とがひそんでいた。
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