Pastiche。/田中宏輔
かい合って存在している。
? ということは、かりにそのたった一つの生物が消滅でもすれば、表象としての鳥籠もまた同時に消滅するということなのだ。
? 鳥が空想的になる場合にも、鳥籠はやはり同様に漸次希薄になる。
? 鳥籠は、何よりもまず、鳥の意識的認識の反響である。
? その鳥籠は、しばらく宙に浮いていた。
? イエスの心というのが、その鳥籠の名前であった。
? この鳥籠は、あまり鳥の鳥籠にはならない。
? 鳥は未練なく、その場を離れた。
? 鳥が鳥籠から出たとき、雨が少し降っていた。
? 鳥籠の胸の奥に、死んだ鳥と眠っている鳥とがひそんでいた。
[次のページ]
戻る 編 削 Point(10)