ひだかたけし氏の「熱の同心居」を読む/朧月夜
 
も悪くない!
  吊鐘の中の蛇が悪い!

  だがもし平和な時の満洲に住んだら、
  つまり個人々々のつきあいの上では、
  竹馬よりも吊鐘の方がよいに違いない。

「吊鐘の中の蛇」というのが中国の(政体の)ことであり、「竹馬」というのが日本の(政体の)ことです。ここに、芸術に投身した中原中也の姿勢が見てとれます。中原中也というのは、一般的にそう思われているような抒情的・直情的性向の詩人だったわけでは必ずしもなく、「芸術論覚え書」などは極めて理論的に書かれています(ただし、夭折した詩人らしく、認識の甘さは否めないです)。

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 ひだか氏の詩に帰りましょう。この詩のなか
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