ひだかたけし氏の「熱の同心居」を読む/朧月夜
 
再び当初の主張に戻って、例えば2024年8月6日に書かれたこの詩において、氏が「原爆忌」ということを意識していたかどうかは分からないのですが、この詩において、社会と自身の生活、あるいは生命とが混然一体となって昇華する、というあり様は仔細に表現されているように思えます。というより──仔細すぎる。詩人の思想の変化? などを心配する読み手であれば、ここに「詩人は右傾化した」または「詩人は左傾化した」という下らない発情を感じ取っても良いのです。

 この詩を書くにあたって、氏が一瞬の静寂・安静を得たのあれば幸いなるかな、と一批評者になりたいわたしなどは思います。氏の綴ってきた詩想・思想は重いですし、そ
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