ひだかたけし氏の「熱の同心居」を読む/朧月夜
な(冒頭の)部分です。
街の通り花壇周りの草むしりするおばさん達、
ぽつぽつと明かり橙に灯る小さな美容室、
青いバット握り締め素振り繰り返す少年、
氏は、観察した人間像をそのままに描写する、ということがほとんどないのですが、この詩においては、明らかな慈愛の眼差しを持って人々の生活が観察され、描写されている。過去にも、氏の作品において、そうした描写は断片的にはありました。ですが、この詩においては昭和初期の詩人や、戦後詩の詩人たちがそうしたように、繊細に、あるいは執拗にそうした描写がなされている。詩の世界において、<三行の叙述>というのは、重いものなのです。
再び
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