羽(加筆した結果、散文に投稿することにしました)/パンジーの切先(ハツ)
だという。仏壇の部屋に先に行こうか、悩んでいると奥の部屋から祖母が出てくる。また綺麗なったねえ、ほんまにべっぴんさんやねえと私に言った祖母は、昔から少しも変わらないままの笑顔だった。ほんまによう来てくれたねえ、後であいさつがてら仏壇にも手合わしたってな。きっとおじいさんも会いたがってるわ。うん、もちろん。と返事をしたあと、私は祖母や母に今日のことを話そうかと思ったが、笑われて終わりかもしれないと様子を見ることにした。
母に手土産の鳩サブレーを渡し、祖母と二人で、母の出してくれたよく冷えたお茶を飲みながら、いくつか世間話をした。会話が途切れたので、祖父の話をしようか迷ったが、私同様、さほど信心深
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