羽(加筆した結果、散文に投稿することにしました)/パンジーの切先(ハツ)
きからえらい顔色が悪いで、心配してたんや。タクシーほんまに呼ばんでええか? これ持っていき、ポカリ」
私は初め遠慮をした。しかし、一歩も引かない店員の親切に最後には礼を言い、ペットボトルを受け取って、今度また来ます、ありがとう、と言って店を出た。
外に出た途端、蝉の鳴く声が耳に入ってくる。おじいちゃんありがとう。おじいちゃんありがとう、と思わず小さく呟き、私はそのまま実家へ向かった。
チャイムを押し、母に迎えられ、洗面所で手を洗って、両手を使ってうがいをした後、台所を覗くと、母がお茶の準備をしてくれていた。ありがとう、と声をかけると、祖母はいつもはしない昼寝から先程起きたばかりだと
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