羽(加筆した結果、散文に投稿することにしました)/パンジーの切先(ハツ)
かはわからないが、トイレのドアをノックして、入ってきたコンビニ店員の中年の女性は、トイレの床に寝転んで汗だらけの私の姿を見て、えらく心配しているが、そんなことより、私はめくれていたスカートから覗く両脚を見て驚いた。両腿の羽は、いつのまにか消えていた。私は、ほーっと息をついた。それからスカートを元に戻し、服の表面をパンパンと払い、そしてハンカチで汗をできるだけ拭いて、個室を出た。それから、その間も心配しきりの店員に礼を言った。店員は、私に半ばもたれかかるくらいの勢いでこちらの背中をさすりながら言った。
「あんた娘によう似とるわ、しばらく会うてないで、娘が偶然来たんか思てな。そんで、入ってきたときか
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