キキコ/英田
っとるのに、わざと言いよるやろ。ほんま、ズルい。ズルいけど、賢い。でも、あれや、そんな賢いお前のことなんか、お見通しや。俺にとって、お前の賢さなんて、可愛いもんや。偉い可愛いチビを嫁に貰ってしもうたわ、ほんまに」 なんて、口にだすわけなく、ただ振り返って、
「わかっとるわ」
って言うた。キキコは電灯の下に佇んでて、今度はちゃんと顔が見えた。莞爾と笑って偉い可愛く見えたから、僕もなんや、顔引きつってもうて、笑った。そしたら、ガコンとブレーカーの落ちる音がして、電気が消えた。キキコは暗いのが苦手やから、小さく悲鳴を上げた。電気屋、気早いわ、もう電気止めてしもうたんかい
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