亡霊の告白/秋葉竹
 
ないって
口の中もカラカラだったよ
笑顔で受け応えしようとしたけど
きっと
ちゃんと笑えてなかっただろうな

またあした

って
別れぎわの手の振り方が
とても可愛くて
その姿を切り抜いて待ち受けにしたいと
心底神さまに祈ったよ
カバンからスマホを取り出す衝動を
抑えるのに
時間がかかってしまって

ええまたあした

としか応えられなかった
そして別れてすぐにスマホを取り出して
慌ただしい雑踏の中
人波に紛れるそのひとの
凛としたちいさな後ろ姿を
震える指で画像におさめたよ

神さまのバカ

祈っても後ろ姿かよ

そして詩が生まれるのです
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