怪談/ホロウ・シカエルボク
 
そういうことがあったのかもしれない、でもそのアプローチはあまりに控えめ過ぎて、おそらくこちらにたいしてなにか欲求があるとか、そういうことではないのだろうと解釈した、その後もそれは何度か同じ側に現れたが、特別それ以上なにかしてくるかというわけでもなく、俺はいつしかそいつを枝とか葉っぱと同じようなものだと認識するようになった、階段を上がりきるとそこから少し下りの道になった、下った先は直角のカーブになっていて、そこを曲がると小さな灯台があった、灯台の上部には塔をぐるりと囲む形でバルコニーが設置されており、落下防止の鉄柵が張り巡らされていた、その鉄柵から等間隔で首吊り死体がぶら下がっていて、悍ましいメリー
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