怪談/ホロウ・シカエルボク
同じように散歩をするのが好きな年寄夫婦かもしれない、でも彼らには不思議なほど生きてる人間の感じがしなかった、それは断言出来る、でも、そんな印象がどんな真実を導き出すのか、そんなことにはまるで興味がない、俺に煩わしい思いをさせないのなら、幽霊だろうとなんだろうとその辺をうろうろしてもらってかまわない、三百メートルのトンネルを狭い歩道に毒づきながら抜けると国道わきの山肌を上っていく荒れ果てた石組みの階段が見えた、そういえばここには山頂に展望広場があるという話を聞いたことがあった、けれどこの階段はなにか、そこへいくものとは違うように思えた、単純に俺は、そこの展望広場には行ったことがあったのだ、その時の階
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