怪談/ホロウ・シカエルボク
 
た焼け焦げたシートの上でそれをする気にはならなかった、眺めるのに飽きると国道へと戻り、上ってきた道を下りるか、それとも緩やかな上り坂をさらに進むか決めなければならなかった、その先へと歩いてみることに決めた、梅雨明けもまだしていないのに太陽は内臓に響くほど噛みついてくる、それでも歩くことをやめようという気になれないのは、時折吹く突風の心地好さと、歩きながら眺める景色の美しさのせいだった、どうせ汗はかくし、何もしなくても疲れるのだから、何か面白いことをして一日を過ごしたかった、ただそれだけの理由だった、ふと振り返ると、さっきの車のそばに老いた男女が立っているのが見えた、見間違いかもしれないし、俺と同じ
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