PAC-MAN/ホロウ・シカエルボク
 

朦朧と彷徨う午後を適切な言葉で語ればどうにか恰好がつく気がして、汗ばんだ肌の不快感は無視することにした、太陽はかろうじて顔を覗かせている程度で、圧倒的な湿度の高さがすべてを塗り潰していた、真っ当な人生が一番キチガイじみている、気付いてしまったら流されるわけにもいかない、車の流れを無視して渡る車道、派手なクラクションはなるもののどうせやつらは怖気づく、向かいの通りになにか気になることがあったわけじゃない、気まぐれのようなものだったけれど自分で選択したものであるだけその日を飾るには申し分なかった、道はもう増えることはないのに車は増え続ける、いつかこの街は渋滞で滅びるかもしれない、運転席に座っている
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