初めから舗装道など選んで歩くような人間じゃないんだ/ホロウ・シカエルボク
 
自分がその中で同じように動くのだと思うだけで身の竦む思いがした、本当にそれはとても奇妙なことのように思えたのだ、いまにして思えばその違和感は、正解が最初に提示された状態であったところから来ていたのだと思う、ここに従え、ここを目指せ…そんな教義が一人の人間の真実に近付くわけがない、そんな無意識下での確信がそんな違和感を呼んだのだ、集団生活、調和、円滑に物事を進めるためだけの教育、社会の一員として何不自由なくやっていけるだけの規律と従順―そこにあったのはたったそれだけのものだった、そしてそれは絶対的なものとして語られた、なにを疑問に思うことも無い純朴な少年少女たちを騙くらかすなんて簡単なことだったのだ
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