初めから舗装道など選んで歩くような人間じゃないんだ/ホロウ・シカエルボク
 
たけれど…子供の頃から幸せな物語は嫌いだった、そこには嘘しか書いていない気がした、あるいは御伽噺のような―そんな言い方は傲慢かもしれない、それが自分の求めているものではなかったということなのだろうから―喪失に惹かれた、あまり完結していない物語に惹かれた、そこにきっと自分が欲しがっているものがあるのだと…それと同時にいつでも、欺かれている、という気がしていた、或いは、誰かが自分を欺こうとしているという、予感のようなものだったかもしれない、例えばそう、教壇に立つ誰かがある行動を指示したとする、すると誰もがそれを疑うことなく指示された通りにきちんと動いてみせるのだ、それはとても奇妙な光景に見えたし、自分
[次のページ]
戻る   Point(1)