初めから舗装道など選んで歩くような人間じゃないんだ/ホロウ・シカエルボク
 
、間近で見た交通事故の瞬間だったりした、見飽きた景色が歪むとき、怯むとき、崩れるとき、心は激しく震えた、いつだって断層から世界を眺めているような気がしていた、でも本当はきっと、断層そのものを求めていたのだ、世界と世界との境界線、それを見つめることが必要だったのだ、辺りを見回してもそんなものがまるで目に入らない時もあった、そんな時はただただ虚空を眺めているだけだった、穴の開いた胃袋に食いものを送り込み続けているみたいな焦燥感が常につきまとっていた、そして不思議なことに、これまで一度もそれを不快に思ったことがなかったのだ、それが自分を生かしていることが理解出來ていた、もちろん、とても朧げにではあったけ
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