詩小説『雨の日の猫は眠りたい』その3。+あとがき/たま
 
足。どうやら部屋の入口はテントで隠されているらしい。テントのなかにはチャックの開いたシュラフと、白いノートパソコンが見える。パジャマ姿のわたしは、窓辺の床に置かれたレスキューボードの上に正座して、波打ち際のライフセイバーみたいに海を見ていた。
 白い壁を刳り抜いた窓は半分しかなく、というのは天井がないという意味で、灰色の雨雲に覆われた空を見上げると、砂粒のような雨はわたしの頭上を避けて、四方八方に落ちて来るのだ。宇宙めがけて飛んで行くロケットの操縦席にいるみたいで、うれしくてたまらないわたしが雨に見とれていると、雨雲がまっ黒に染まって、硬い雨はまるで青白く発光した流星のように糸を引いて落ちはじめ
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