詩小説『雨の日の猫は眠りたい』その3。+あとがき/たま
したブルーサファイアを手に入れると、シカゴの街で義眼を作ってくれたのだという。
「不自由だな。」
「そんなことない、よく見えるのよ。この眼……。」
女は食器棚の抽斗をあけて、黒い筒のような望遠鏡を手にすると窓辺のベッドに腰かけた。
「なんだ、それ……ガリレオ式か?」
「そ、カリブの海賊が使ってたやつよ。」
オレンジ色に染まりはじめた海の彼方に女は望遠鏡を向けた。金色の産毛がかがやく女の腕に絡み取られたガリレオはうれしそうに見えた。
「なあ、あんた。もうひとつ聴いてもいいか?」
「なあに?」
「俺といっしょに旅する気はないか?」
「旅? あなたと?」
「いやか?」
「
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