詩小説『雨の日の猫は眠りたい』その3。+あとがき/たま
ミだけど、どうしても捨てきれないやつってことさ。」
「あなたのこと?」
「だとうれしいけどさ。ゴミはゴミ、捨てきれなくても役に立たないやつは、やっぱしゴミだよ。」
「じゃあ、あたしはさ、オトコの役に立ってるわよね。」
「あ、そのセリフはあんたに似合わないな。」
「あら、そうなの。」
とぼけた顔して女は鏡のなかでウィンクして見せた。
「なあ、あんた。あんたの都合は知らないけどさ、もう帰る気はないのか?」
「どこに?」
「アメリカにさ。」
「もういいの、ゴミ箱には帰りたくないわ。」
「……。」
女はシガレットに火を付けた。
「ね……もういちどするでしょう? シャワーもある
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