たそがれのもり/あらい
 
籠目ている。溶けやしない、とめどなくミゾレの結晶。傀儡の糸で通していた。
ゆめ。跳ね橋の寒さは肺鋳ろに堪える。
 ゆくゆく――ミネラルウォーターに口をつけた。
 また豊穣に広がる灰色を、集めた水音はすこしずつ溶け込んで、腫れていく骨格。涙ぐむ糸のような気恥ずかしい街に、不器用に撒き散らした丁字路を通過する、渇いた鈴虫が、イヤフォンのあいだからヒゲを動かしては、調子良くステップしただろう。


 酩酊の彼は誰時のやまやまを績む 草原と駈る紅蓮群青へ
 空蝉は南風とともに吠え狂う氾濫と寄せて


 いつもどこでも、ひょっこりと現れて耀く、まぶたのうらがわに焼き付いている、こころのど
[次のページ]
戻る   Point(2)