たそがれのもり/あらい
 
しい意図どこか切り忘れ、どのみち繋がっていた。この冷たい雨を銀砂と透し、崩し文句も交叉した悼みに近づくように残されたもの。
 またはそのものの燻りだけを誂えることであった。

 薄暗い蔵のようなカビ臭いところで、こちゃこちゃと並んだ小物たちに混ざり、このものだけが鮮明に残された記憶を思い返す、遠く懐かしい汐の香りがする、曇欠けのグラスに一雫と円を失くした。
 また古い柱の陰で死んだはずの文鳥が巣を拵え続け。姿は見えないが気配もする、そして私自身の泣く声も、誰かの視線と感じはじめる。
 そのうち、億星星の舟の縁を。また極小の砂粒の、すこしあいた塩気の勘ぐりに中たる、貝欠けた砂浜の小動物のあ
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