torrential rain/ホロウ・シカエルボク
 
なことがわからないのか、それとも、わかった上ですっとぼけているのか、駄々を捏ね続けた人間の方が勝ちだとでも言わんばかりの、見るも悍ましい世界さ、俺は傘を閉じる、そしてそれを捨てる、もうこんな街で自分を守っていることが馬鹿々々しくなったんだ、ほら、早速、まるでそぐわない化粧をした若い女が異常者を見るような目で俺を見ている、でも視線が合っている間は、そいつはなにも言いはしない、すれ違ったあと、逃げるように小さな声で呟いて行くのさ、みんなそうだぜ、上手く逃げ続けて、ハッタリだけは上等、それがこの街のプライドさ、あっという間にずぶ濡れの俺は、伸びた髪を後ろへ流しながら、清々しい気分で歩いた、下らない、些細
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