詩小説『雨の日の猫は眠りたい』その2。/たま
ルには、いろんな用途があり、ゴミ箱に捨てさえしなければ塵みることはない。それとおなじで、ひともまた、空になったからといって捨てきれるものではない。ひとの一生は途方もなく長い。ときとして空になることもある。
それで空になったからといって捨ててしまえば、そのひとは塵みることになって、塵みたひとは分別される。それが差異だといえば差異かもしれないが、記憶のなかに意識を持つひとは、たとえ空になっても塵みることはない。
分別を拒むからだ。
だから問題は、記憶のなかに意識を持つことだといえるが、これはちょっとややこしい話しになる。そこで、五十代半ばに書いた詩をひとつ読んでもらって、記憶と意識の関係に
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