詩小説『雨の日の猫は眠りたい』その2。/たま
までの時間を逆算すると、汗臭いからといって毎日洗うこともできない。綿の手袋なら毎日洗えるし、すぐ乾く。なるほどとおもう。わたしは裏地付きなら快適だろうとおもったが、半月もすると汗臭くて間に合わなくなった。それで、ふたりの足元は小学生のようなカラフルな長靴だった。
黄色いゴミ袋とみじかい火ばさみを持って、上田さんが女子トイレの個室のコーナーポットに詰め込まれた生理用品や、散乱したペーパーを回収しはじめると、中川さんは粉末のクレンザーとスポンジを持って、女子トイレと男子トイレの洗面台を擦りはじめる。
「アンタ、ホース出してや。」
あ、はい。
わたしは中川さんが解錠した女子トイレのロッカー
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