詩小説『雨の日の猫は眠りたい』その2。/たま
 
 雨は詩歌。
 雨はメタファー。
 雨はわたし。


   散文の海へ4

 北のはしのトイレは風通しがわるく蚊の住処だった。
 蚊にとって海水浴場のトイレほど、衣食住に満ちた住処はなかったはずだ。作業着は動きやすいふだん着でよかったが、トイレ掃除にはビニール手袋と、長靴と、首に巻くタオルが一本必要だった。わたしはディッキーズの紅い帽子をかぶって、Tシャツを着て、裏地の付いた長いビニール手袋をして、紐付きの膝下まである長靴を履く。
 中川さんと上田さんは日やけよけの長袖に、薄手の綿の白手袋をして、その上にみじかいビニール手袋をつける。ビニール手袋は蒸れると気持ちわるいし、乾燥まで
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