糸を緩められた体中の錆と痙攣する芋虫を連想する。/あらい
境涯。
荒立てず緩やかに起伏する草原に絡めるような指を、天鵞絨のリールと結ってやっと手にする。珊瑚礁は螺旋を祀り脂を引いたように退廃美を押し付ける。あぁ僕らの悦びは、ゆうべの狐や狸より癇に障るもので、開いた両手に、冷酷で不愉快な幸福ほど、はっきりと手を出して 痛ましさよりも官能的であろうとするなら、異常なほど価値を与えるだろう。
このメビウスの帯に吹きこぼれた過ちが非れもなく、あどけなさを残す。オルガズムはレンズの一部で、この退屈なとおりすがりの人を思うと、次の朝には身を焼くようなしこりに苛まれます。激情は一陣の風の片鱗であり その好奇心でひととき丸くされ、まばたきすると虚脱した上の空
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