Sat In Your Lap。II/田中宏輔
と酒を思い、賽(さい)を持つと攤(だ)をうとうと思う。心はかならず何かをきっかけとして生ずる。
(上、現代語訳=三木紀人)
ぬしある家には、すずろなる人、心のままに入(い)り来る事なし。あるじなき所には、道行き人(びと)みだりに立ち入(い)り、狐(きつね)・ふくろふのやうな物も、人げに塞(せ)かれねば、所得(ところえ)顔に入りすみ、木(こ)霊(だま)などいふ、けしからぬかたちもあらはるるものなり。
また、鏡には色・形(かたち)なきゆゑに、よろづの影(かげ)来(きた)りて映(うつ)る。鏡に色・形あら
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