詩小説『雨の日の猫は眠りたい』その1。/たま
気がして。チャンネルを切り替えてみるけれど、どこもおなじで。ああ、やっぱし夢の入口をまちがえたんだ。と、ため息を吐いてみても、朝はもうすぐそこにあって。目覚ましアラームも鳴るから、またあしたの話しになってしまうのだが。ひととしてもう十分生きてきたわたしの見る夢なんて、再生回数の侘しいユーチューブの動画みたいなものかもしれない。
それで、わたしにとってはもうすっかり見飽きた動画のような詩を集めて、詩集を編むことになったが、ここに収めた詩作品は、四十代から五十代にかけて書き散らかした詩を寄せ集めたものだから、詩集としては主題のない自薦詩集のようなものになる。
詩集とは「一冊の詩」と呼べるものであ
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