詩小説『雨の日の猫は眠りたい』その1。/たま
。つい手が止まってしまうから分別はいつまでも終わらない。
そんなふうにして、夢の入口でしょぼくれるわたしのすがたは、老いることを拒もうとする姑息なすがただといえるが、老いることを拒むのは、あくまでもこのわたしの意識からこぼれ落ちる塵みであって、見ることもさわることもできないが、仮に日常的な名を与えるとすれば、それは約束という名の塵みだろうか。
たとえばあした死ぬかもしれないという約束は、けっして軽いものではないけれど、かといってまともに対峙することもできず。眠らなかったらあした死ぬこともないのに。とか。老いることもないのに。とか。ついそんなふうにはぐらかして朝までばかやろうな夜と格闘し
[次のページ]
戻る 編 削 Point(5)