詩小説『雨の日の猫は眠りたい』その1。/たま
ということになって、灰になって一生を終えることに多少の不服はあったとしても、それがひとに与えられた平等なんだとおもえば、なんてことないけれど。他人の塵みまで分別しなければいけないなんてどう考えてもおかしい。だから、このわたしのどこかに差異が潜んではいないだろうかと、そればかりが気になるのだ。
ところで、夢の入口に投げ捨てる塵みは見た目よりもわずかに重い。
それは真夏のビーチの生ぬるい臭気を放つ汐と。一握の砂にまみれた塵みばかりだったからだ。ビーチの定番ともよべる大小さまざまな空き缶やペットボトル。風と波に運ばれた藻屑にからみついたビニール袋や、角のないプラスチック片。四季を奪われて居場所を
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