詩小説『雨の日の猫は眠りたい』その1。/たま
 
うか
たとえ切なくても
痛みのない明日を祈り
スプーンいっぱいの希望を呑み干して
陽のあたる部屋に
たどり着いただろうか

このぼくに似た
キリストを産みおとすために


  散文の海へ2

 今日も雨は降らないという。
 目覚めた朝はゆうべ投げ捨てた塵みを拾いあつめて上着のボタンをとめる。まだうす暗い階下のリビングの灯りを点けて。雨戸をあけて。湯を沸かして。熱い紅茶を煎れて。富有柿と、アロエのヨーグルトと、イチゴジャムをうすくのせた五枚切りのトーストを一枚いただいてから。漢方の常備薬を二錠かじって。パイプの火皿にピーターソンのワイルドアトランチックをつめて。火を点けて
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