詩小説『雨の日の猫は眠りたい』その1。/たま
 


その日も
いつもの終電に乗って真夜中のアパートに帰った
駅前の商店街のくらい路地には数人の娼婦がたっていて
通りすがりの男たちに声をかけていた

やせた娼婦に声をかけられたが
初めての女とはセックスができなかったぼくは
娼婦の顔も見ないで足早にまっすぐ歩いた
もちろん、そんなお金はなかったし
そのころは、年上の恋人がいて十分に満ち足りていた

せまいアパートには年中ふとんがしいてあった
いつものようにすこし酔っぱらった恋人が
ショーツ一枚のつめたいからだにふとんをからめて
筒井康隆の文庫本を読んでいた
ぼくもブリーフ一枚になってその横にもぐりこんだ
煙草に
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