もうすぐ百の猿になる。/田中宏輔
た、と考えなければならないわけです。/多くの病的な事実が、そうした自己自身の外的知覚、つまり「自己視」(autoscopie)が存在することを証言しています。まず、多くの夢のばあいがそうであって、われわれは夢の中では、自分をさながら自分にも見える人物であるかのように思い描きます。こうした現象は、溺死の人とか入眠時の或る状態とか、また溺れた人などにもあるようです。そうした病的な状態において現われてくるものと、幼児が鏡の中に見えている自分自身の身体について持つ税所の意識とは、よく似ているように思われます。「未開人」は、同一人物が同一瞬間にいろいろな地点にいると信ずることができます。
(M・メルロ=ポ
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