もうすぐ百の猿になる。/田中宏輔
して出てくることになるのであろうか。
子供が自分の声を探している。
(ロルカ『?の子供』小海永二訳)
どの声もどの声も僕のまわりを歩きまわる。
(原 民喜『鎮魂歌』)
声はつぎつぎに僕に話しかける。
(原 民喜『鎮魂歌』)
僕は自分自身を捜し求めた。
(ラディゲ『肉体の悪魔』新庄嘉章訳)
鏡があった。あれは僕が僕というものに気づきだした最初のことかもしれなかった。僕は鏡のなかにいた。
(原 民喜『鎮魂歌』)
ヴァロンによりますと、幼児は最初、自己の鏡像のばあいには、他人の身体の鏡像のばあいにもまして、それを本当の身体の一種の分身として見ていた、
[次のページ]
戻る 編 削 Point(7)