もうすぐ百の猿になる。/田中宏輔
して、お前たちが皆いっしょになって一人のアントニーになってもらいたい。そうしたら、お前たちがしてくれたように、おれがお前たちのために働けるのだがなあ。
(シェイクスピア『アントニーとクレオパトラ』第四幕・第二場、小津次郎訳)
かつて、ボルヘスの『恵みのうた』という詩を読んでびっくりさせられたことがある。詩を書きはじめて、まだ間もないころのことだった。もしかすると、そこに、『陽の埋葬』の原点があるのかもしれない。「長い回廊をさまよいながら ぼんやりとではあるが/聖なる戦慄をもってしばしば感じたものだ/わたしは同じ日々に 同じ歩みを/行っている死者、他者であると。/複数の〈わたし〉の そして
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