その位置: ゼロ/由比良 倖
きならしていく。
好奇心の種が内臓の中心で芽を出せば、
あたたかい冬の中で、散らかった部屋は意識不明になる。
脳を割られて、街は新しい首たちの視野となる。
人間は骨と皮と肉だけど、光の眼差しを持ってる、
いつ死んでもいいように、虹の瞳孔を、
魚の祖先が痛みと共に得たもの。
あの世に行けるかもっていう予感だけで、
この世で暮らすには十分。
意識がとても好き。裏返された身体で街を会話する、
歩く、誰も此処には入ってこない、人、人、人、
其れ其れの独りよがりが、私の頭上をオレンジ色に、
染める、デジタル木琴の音、五感、第六感、
でも私は通常過ぎる吐き
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