その位置: ゼロ/由比良 倖
ふわふわ 浮いてる、どこまでも 浮いてる
私は海の中、どこまでも透明に拡がっていく、
私は今、肯定している、否定している、うちが外を包む、
はい、は、いいえを肯定しているし、いいえ、は、はいを肯定している
春、 選ぶ 到着する 、 と書き放して
私はとても、トナカイのような目をしていた
いない いない どこにもいない
それは私が唯一の 動物だからか
それともただ一人 思い出せない記憶ばかり思い出す
倒錯者だからか? それとも全て夢で
これら、は、すべて 夢で織られた
血の抜けた街だからなのか
血で織られた街を、血まみれのほうきで掃きな
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